昌平坂メディカルリサーチフォーラム(MRFS)について

(Medical Research Forum in Sho-hei zaka)

政治・経済に限らず、医療・教育・研究の場面でも制度疲労が起きております。 臨床の分野での制度疲労は、これまでの個人的経験や権威に頼った医療の否定という形で、 あるいは、Evidence Based Medicineという言葉の野火のごとき広がりという形で現れました。 しかし、言葉のみでなくEBMの概念が正しく普及するにつれ、 この基礎となるエビデンスを生み出す基盤がわが国では脆弱であることがようやく誰の目にも明らかになってきました。 臨床研究の基盤とは、巨大な研究棟でも、最新鋭の測定機器でもスーパーコンピュータでもありません。 法的基盤と研究費を別にすれば、信頼性の高い研究データを効率的に生み出すシステムとそのシステムを支える人材に他なりません。

この小さなフォーラムは、臨床研究の基盤整備を共通の目的とした三つの事業体 − NPO日本臨床研究支援ユニット、NPO日本医薬品安全性研究ユニット、 財団法人パブリックヘルスリサーチセンター・乳がん臨床研究支援事業 − から始まりました。 いずれも、東京大学医学系研究科・医学部(薬剤疫学寄付講座および生物統計学/疫学・予防保健学)の教官を中心に運営され、 近い将来は、いずれも東京大学附属病院に設置されている臨床試験部、 大学病院医療情報ネットワーク(通称UMIN)との連携も視野に入れております。

昌平坂学問所は、幕府官学の中心として、廟に安置された学問の権威・孔子が民・学徒を睥睨する形で始められました。 我々は逆に、坂を下から上に臨みつつ足下を固めながら臨床研究に貢献したいと考えております。